「世界トップクラスのハンドボールを見られるのは楽しみ。でも、ボールが速すぎて、何がすごいのか分からないまま終わりそう……」

初めて観戦するなら、そんな心配もありますよね。

でも大丈夫です。最初からすべての戦術を理解しようとしなくても、見る場所を少し絞るだけで、パリ・サン=ジェルマン(PSG)ハンドボールのすごさはかなり分かりやすくなります。

一言でいえば、注目したいのはシュートが決まった瞬間より、その直前に相手を動かしたプレーです。

2026年のジャパンツアーは、8月4日にジークスター東京、8月5日に男子ネクスト日本代表と有明アリーナで対戦します。PSGは2025-26シーズンのフランスリーグを29勝1分けの無敗で制し、通算13回目の優勝と12連覇を達成したチームです。

この記事では、ハンドボール観戦が初めてでも見つけやすいポイントを、今回の来日予定選手と一緒に紹介します。

先に確認しておきたい試合・放送情報

日時対戦カード会場
8月4日(火)19:00PSG vs ジークスター東京有明アリーナ
8月5日(水)19:00PSG vs 男子ネクスト日本代表有明アリーナ

両試合はCS放送の日テレジータス(CS257)で19:00から放送予定です。BS・110度CSを受信できる環境なら、スカパー!未加入・未登録でも無料で視聴できます。ただし、インターネット配信と見逃し配信は予定されていません。

会場で見たい人は、チケットの一般販売最終期間が7月17日10:00から各試合日19:30までとなっています。販売状況は変わる可能性があるため、大会公式サイトで最新情報を確認してください。

まず知っておきたいのは、過去3年間でPSGが6戦全勝ということ

PSGのジャパンツアーは2023年に始まり、2026年が4年連続4回目の開催です。これまでジークスター東京、日本代表と各3試合を行い、PSGが6試合すべてに勝っています。

対戦相手結果
2023年ジークスター東京PSG 36-27 ジークスター東京
2023年男子日本代表PSG 39-24 日本
2024年ジークスター東京PSG 31-29 ジークスター東京
2024年男子日本代表PSG 37-31 日本
2025年ジークスター東京PSG 36-35 ジークスター東京
2025年男子日本代表PSG 30-23 日本

ここで面白いのが、ジークスター東京との点差です。2023年は9点差、2024年は2点差、2025年はわずか1点差まで縮まりました。

2025年の試合では、ジークスター東京が前半を20-20で折り返し、最後までPSGを追い詰めています。PSGはエロイム・プランディ選手が10得点、カミル・シプシャク選手が8得点を挙げ、最後はミケル・ルクヴィスト選手のセーブで36-35の勝利を守りました。

つまり2026年のジークスター東京戦は、「世界的なスターを見る試合」であると同時に、日本のクラブが今度こそPSGから初勝利を奪えるかを見る試合でもあるんです。

見どころ1:ボールを持っていない時間の「速さ」を見る

PSGを見るとき、最初に注目してほしいのはシュートの球速ではありません。

相手のシュートが外れたり、GKがボールを止めたりした直後を見てみてください。選手たちはまだボールを受けていないのに、次の攻撃の場所へ走り始めています。

トップチームの速攻が速く見えるのは、足が速い選手をそろえているからだけではありません。ボールを奪ってから考えるのではなく、奪う前から次の動きを準備しているからです。

特に見てほしいのは、次の3秒です。

  • GKがボールを確保した瞬間、ウイングがどこへ走るか
  • センターバックが最初のパスをどの位置で受けるか
  • 相手が戻り切る前に、何人がゴールへ向かっているか

「パスが来てから動く」のではなく、「パスが来る場所へ先に動く」。この違いが見えたら、PSGの速さをかなり実感できるはずです。

見どころ2:ルック・スタインズ選手は、DFの足を止めてから選ぶ

初めて見る人にも分かりやすい注目選手が、センターバック(攻撃を組み立てる司令塔)のルック・スタインズ選手です。

公式プロフィールでは身長173cm。欧州のバックプレーヤーとしては小柄ですが、フランスリーグで3季連続MVPに選ばれた実績を持ち、PSGとの契約も2029年まで延長されています。

スタインズ選手を見るときは、ボールだけではなく、正面にいるDFの足を見てみてください。

スタインズ選手が一歩踏み込むと、DFは「突破される」と感じて前へ出ます。その足が止まった瞬間に、横の選手やピボットへパスが出る。反対にDFがパスを警戒すれば、そのまま空いた間を突破します。

つまり、最初からパスか突破かを決めているのではなく、相手に先に選ばせて、その逆を取っているんです。

センターバックの役割を知ってから見ると、スタインズ選手がシュートを打たない場面でも、攻撃を動かしていることが分かりやすくなります。

見どころ3:エロイム・プランディ選手は「大砲」だけではない

エロイム・プランディ選手といえば、遠い位置から放つ強烈なシュートが大きな見どころです。2025-26シーズンのEHFチャンピオンズリーグでは120得点を挙げ、フランス人選手の大会1シーズン最多得点記録を更新しました。

ただ、シュートの速さだけを見て終わるのは少しもったいないんです。

プランディ選手がボールを持ったとき、相手DFが何人反応するかを見てみてください。強烈なロングシュートがあるため、DFはゴールから離れた位置まで前に出なければなりません。

すると、その後ろにピボットへパスを通す空間が生まれたり、隣の選手が突破できる間が開いたりします。

本人もEHFのインタビューで、得点だけでなく、試合によっては味方のために空間や解決策を作る選手へ変化してきたと説明しています。

見るポイントは「打ったかどうか」だけではありません。

プランディ選手が打てる構えを見せたことで、相手DFがどこまで前に出たか。

そこを見れば、シュートを打たなかった場面でも「大砲」の威力が分かります。

見どころ4:ピボットは、ボールに触っていないときほど仕事をしている

ゴール前の6mライン付近で、DFと体をぶつけ合っているのがピボットです。今回の来日予定メンバーには、ルカ・カラバティッチ選手とカミル・シプシャク選手がいます。

ピボットは、得点数だけでは働きが見えにくいポジションです。

たとえばカラバティッチ選手がDFの前に立つと、味方のバックプレーヤーが走り込む通路ができます。反対にDFの背中側へ回れば、DFはボールとピボットを同時に見なければならなくなります。

ここで見てほしいのは、ピボット本人だけではなく、その隣にいるDFです。

  • ピボットに押さえられて、一歩遅れていないか
  • ボールとピボットを見るために、何度も首を振っていないか
  • 2人のDFの間が少し広がっていないか

その小さなズレの直後に、PSGのシュートが生まれます。

カラバティッチ選手はPSGのキャプテンで、EHFチャンピオンズリーグの最優秀ディフェンダーに2度選ばれた実績を持ちます。攻撃時のスクリーンだけでなく、守備で相手をどこへ追い込むかにも注目です。

ピボットの基本的な仕事スクリーンのルールを知っておくと、ボールに触れないプレーの価値が見えやすくなります。

見どころ5:ウイングとGKの1対1は、最後まで待った方が勝つ

速攻やサイド攻撃からウイングが飛び込んだら、シュートコースだけでなく、選手がボールを離すタイミングを見てみてください。

フェラン・ソレサラ選手やセバスチャン・カールソン選手のようにサイドから飛び込む選手は、空中ですぐに投げるとは限りません。GKの動きを見ながら、できるだけ長くボールを持ち、先に相手を動かそうとします。

一方、PSGのゴールではミケル・ルクヴィスト選手とロドリゴ・コラレス選手にも注目です。

GKはシュートが来てから反応しているように見えますが、実際には助走、踏み切り足、腕の位置からコースを絞っています。コラレス選手はスペイン代表で2度の欧州選手権優勝を経験し、2026-27シーズンからPSGへ復帰するGKです。

ウイングが先に投げるのか、GKが先に動くのか。その我慢比べが分かると、1対1が一気に面白くなります。

ウイングシュートの角度とGKとの駆け引きも、観戦前に合わせて読んでみてください。

2026年に来日予定のPSG選手

以下は、ツアー公式サイトが2026年7月10日までに発表した来日予定メンバーです。最初に発表されていたマチュー・グレビル選手は、怪我のため不参加となりました。

背番号選手発表上のポジション
1ミケル・ルクヴィストGK
2マテオ・マラシュRB
4ビヤルキ・マール・エリソンLW
5ヤヒア・オマルRB
6ルック・スタインズCB
7カール・コナンLB
9エミル・メレゴードLW
10セバスチャン・カールソンRW
12ロドリゴ・コラレスGK
14フェラン・ソレサラRB
18ティディアン・フィルメッセLW
21カミル・シプシャクPV
22ルカ・カラバティッチPV
25シメン・ウルスタ・リセLB
26フレデリック・ラデフォゲットPV
39ジブリル・サールGK
47ワレム・ペレカLB
66ノア・ゴーダンCB
71エロイム・プランディLB

※ポジション表記は7月10日のツアー公式発表に準拠しています。PSGクラブ公式サイトでは、選手によって「バック」「ウイング」「ピボット」など、より広い分類で掲載されている場合があります。

2試合は、ここを比べるともっと面白い

8月4日:ジークスター東京戦

一番の焦点は、ジークスター東京が過去3年で縮めてきた点差です。

PSGのサイズと接触の強いDFに対して、ジークスター東京がボールを失わずに攻撃を終えられるか。反対に、ジークスター東京のスピードにPSGがどう対応するかを見てみてください。

特に試合終盤まで接戦になれば、PSGがスター選手個人の力で解決するのか、セットプレーで確実に崩すのかが見どころになります。

8月5日:男子ネクスト日本代表戦

男子ネクスト日本代表は、2028年ロサンゼルスオリンピックを見据えた次世代強化チームです。

若い日本選手が世界レベルのDFを相手に、どこまで普段どおりのプレーを出せるかに注目です。PSG側を見るなら、日本のミスから何秒でシュートまで持ち込むかを数えてみてください。

「ミスをした」だけで終わらず、その一つのミスをPSGがどう得点へ変えるかを見ると、世界トップクラスの厳しさが分かります。

最初は、1人だけ追いかけても大丈夫です

試合中はボールも選手も速く動くので、全部を見ようとすると、かえって分からなくなります。

最初の10分はスタインズ選手だけ、次はプランディ選手だけ、という見方でも十分です。

そして慣れてきたら、その選手がボールを持っていないときに何をしているかを見てみてください。

  • スタインズ選手がDFの足を止める
  • プランディ選手の構えにDFが前へ出る
  • カラバティッチ選手が味方の通路を作る
  • GKのセーブと同時にウイングが走り出す

こうした「得点の一つ前」が見えてくると、PSGのすごさはシュートの速さだけではないと分かります。

初めての観戦では、ルールを完璧に覚える必要はありません。まずは好きな選手を1人見つけて、その選手が相手をどう動かしているかを追ってみてください。

きっと試合が終わるころには、「今のプレー、シュートを打つ前から決まっていたかもしれない」と感じる場面が見つかるはずです。


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出典