ハンドボールの試合を観ていて、審判のジェスチャーを見て「今の何?」と思ったことはありませんか?

あのジェスチャーは**審判シグナル(ハンドシグナル)**と呼ばれ、IHF競技規則で全17種類が公式に定められています。笛の音だけでは伝わらない「何が起きたか」「どちらのボールか」を、選手・観客・記録員に視覚的に伝えるためのものです。

この記事では、日本ハンドボール協会「Handball Referee スタートブック」に基づき、全シグナルのジェスチャーと使用場面を解説します。

審判シグナルの基本ルール

  • スローインやフリースロー判定時は、まず**方向シグナル(7番または9番)**を出し、その後反則の種類を示すシグナルを追加します
  • 片手シグナルは反則を犯したチーム側の手で示すのが原則です
  • 笛と同時に示されます

試合中によく見るシグナル

観戦中に特に目にする機会が多いシグナルです。

#シグナル名ジェスチャー
7スローイン方向指示両腕を平行に前方に伸ばし、スロー方向を指す
8ゴールキーパースロー片腕を前方に伸ばし、指先をゴールエリアに向ける
9フリースロー方向指示片腕をやや上方に伸ばし、スロー方向を指す
12得点(ゴール)片腕をまっすぐ上方に伸ばす
14退場(2分間)2本指(人差し指と中指)を上に高く上げる
15タイムアウト頭上で両手を使って「T」字形を作る
17パッシブプレー予告肘を直角に曲げた片腕を横に上げる

全17種類一覧

【1】ゴールエリアへの侵入

シグナル1

方向を指示した後、ゴールエリアに向かって片腕を前方に伸ばし、左右に大きく振る。

コートプレーヤーが6mラインの中に入ったときに出されます。

【2】イリーガルドリブル(不正ドリブル)

シグナル2

方向を指示した後、前方に両腕を伸ばして上下に振る。

ダブルドリブル(一度止めてから再びドリブル)のときに出されます。

【3】オーバーステップ・オーバータイム

シグナル3

方向を指示した後、身体の前で両腕を回転させる。

3歩超過(トラベリング)や3秒超過のときに出されます。

【4】ホールディング・プッシング(抱え込み・押し)

シグナル4

方向を指示した後、身体の前で両肘を張って両拳を突き合わせる。

相手を掴んだり押したりする反則のときに出されます。

【5】ハッキング(打撃)

シグナル5

方向を指示した後、前方に伸ばした片腕の手首を他方の手でたたく。

相手の腕を叩くような反則のときに出されます。

【6】オフェンシブファール(攻撃側の違反)

シグナル6

方向を指示した後、肘を曲げて頭上にあげた片腕の手のひらを、他方の手の拳でたたく。

攻撃側のチャージングや違法なスクリーンのときに出されます。

【7】スローイン(方向指示)

シグナル7

身体の前方に両腕を平行に伸ばし、スローを行う方向を指示する。

ボールがサイドラインを出たときに使われます。

【8】ゴールキーパースロー

シグナル8

片腕を前方に伸ばし、手首を曲げて指先をゴールエリアに向ける。

GKがゴールエリア内からスローする場面で使われます。

【9】フリースロー(方向指示)

シグナル9

身体の前方に片腕をやや上方に伸ばし、スローを行う方向を指示する。

ファウルや反則でフリースローが与えられたときに使われます。試合中最も多く見るシグナルの一つ。

【10】3mの距離の確保

シグナル10

手のひらを前方に向けて出した両腕を伸ばす。

フリースロー時にDF側が3m離れていないときに使われます。

【11】パッシブプレー(判定)

シグナル11

方向を指示した後、前方に伸ばした片腕の手首(腕時計の位置)を他方の手のひらで押さえる。

パッシブプレーが宣告され、フリースローで攻守交代になるときに出されます。

【12】得点(ゴール)

シグナル12

片腕をまっすぐ上方に伸ばす。

ゴールが認められたときに出されます。

【13-1】警告・失格(イエロー/レッドカード)

シグナル13-1

片手にカードを持ち、その腕をまっすぐ上方に伸ばす。他方の腕は前方に伸ばして対象選手を指す。

  • イエローカード = 警告
  • レッドカード = 失格

【13-2】報告書を伴う失格(レッド+ブルーカード)

シグナル13-2

レッドカードに続いてブルーカードを示す。カードを示す前にペアの審判と短時間の相談を行う。

特に重大な反スポーツ行為で、大会報告書に記録される失格です。

【14】退場(2分間)

シグナル14

2本の指(人差し指と中指)だけを伸ばした手をまっすぐ上方に高く上げる。他方の腕は前方に伸ばして対象選手を指す。

同一選手3回目の退場で自動失格になります。

【15】タイムアウト

シグナル15

頭上で両手を使って「T」字形を作る。

チームタイムアウトやレフェリータイムアウトのときに出されます。

【16】タイムアウト中の2名入場許可

シグナル16

手の甲を前方に向けて出した両腕を伸縮させ、両手を前後に動かす。

負傷者の治療のためにコートに入る許可を示します。

【17】パッシブプレーの予告合図

シグナル17

手のひらを正面に向け、肘を直角に曲げた片腕を横に上げる(前腕が垂直、上腕が水平)。チームベンチに近い方の腕を上げる。

パッシブプレーの予告で、ここから最大4パスでシュートしなければなりません。試合で最も緊迫する場面の一つです。

観戦のコツ

全部覚える必要はありません。まずは上で紹介した5つ(7, 9, 12, 14, 15)を知っておくだけで「今何が起きたか」がわかるようになります。

特に注目してほしいのがシグナル17(パッシブプレー予告)。審判が片手を上げた瞬間から「あと4パス」のカウントダウンが始まるので、攻撃側の焦りとDFの追い込みが見えて面白いですよ。


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参考文献