6月12日(金)〜14日(日)、国立代々木競技場 第一体育館。

リーグH女子2025-26シーズンの頂点を決める3日間。まず大前提として、金城ありさ選手はすでに韓国・三陟市庁へ移籍済みのため、このプレーオフには出場しません。

このシリーズでは、女子シーズン総括金城移籍後のサクヤ再編ハマー旋風の正体香川銀行とハニービーの哲学と、さまざまな角度からリーグH女子を掘り下げてきました。

最終回は、プレーオフの大胆予想観戦ガイドです。

プレーオフ概要 — 知っておくべき基本情報

日程・会場

項目内容
日程2026年6月12日(金)〜14日(日)
会場国立代々木競技場 第一体育館
方式上位5チームによるノックアウト(計4試合)

トーナメント構成

QF  : 4位 vs 5位
SF① : 2位 vs 3位
SF② : 1位 vs QF勝者
FINAL: SF①勝者 vs SF②勝者

延長ルール(重要)

  • QF・SF: 正規時間で決しない場合、レギュラーシーズン上位チームの勝利(延長戦なし)
  • FINAL: 5分×2の延長戦。それでも決しない場合は7mスローコンテスト

男子と同じく、下位チームは「正規時間内に勝ち切る」必要があります。引き分け狙いの戦術は使えません。

想定される対戦カード

試合対戦
QFハニービー石川(4位) vs 熊本ビューストピンディーズ(5位)
SF①ブルーサクヤ鹿児島(2位) vs アランマーレ富山(3位)
SF②香川銀行シラソル香川(1位) vs QF勝者
FINALSF①勝者 vs SF②勝者

注目の構図

最終順位が確定し、大きなサプライズがありました。香川銀行がレギュラーシーズン首位でフィニッシュ。ブルーサクヤは2位に後退しています。

  • SF①がシリーズ最大の注目カード: ブルーサクヤ(2位) vs アランマーレ富山(3位)。ハマーの壁に対して、サクヤの新しい得点配分が通用するか。ここを勝ち上がらなければ、ブルーサクヤの連覇はありません
  • 香川銀行はSF②から登場: 首位通過のアドバンテージで、QF勝者(ハニービー or 熊本)と対戦。引き分けでも勝ちのルールが適用される有利な立場

大胆予想 — 優勝確率

ここから先はすべて筆者の予想・分析です。データに基づいていますが、あくまで一つの見方としてお楽しみください。

チーム優勝確率根拠
香川銀行シラソル香川35%レギュラーシーズン首位、日本選手権でのサクヤ撃破実績、若さの勢い
ブルーサクヤ鹿児島30%攻撃力リーグ上位、主力の役割再配分、岸本監督の設計力
ハニービー石川20%17大会連続の経験値、馬場敦子選手の壁、2点差の雪辱
アランマーレ富山15%ハマーの阻止率.424、「当たり日」が来れば全員倒せる

なぜ香川銀行が本命か

レギュラーシーズン首位という事実が、すべてを物語っています。シーズンを通じて最も安定した成績を残し、ブルーサクヤを上回った。さらに2024-25日本選手権でブルーサクヤを34-27で撃破した実績もある。「勝ち方を知っている」若いチームが、首位通過のアドバンテージ(SF②で引き分けでも勝ち)を持ってプレーオフに臨みます。

ブルーサクヤは2位通過 — 連覇への道が険しくなった

ブルーサクヤは2位通過のため、SF①でアランマーレ富山(ハマー)と対戦しなければなりません。阻止率.424のハマーを攻略し、さらにファイナルで首位チームと戦う——連覇への道は、1位通過の場合より明らかに険しくなりました。

ただし、主力移籍後の再編局面でも、岸本監督の「ゲームストーリー」哲学は健在。追い込まれた状況でこそ、チームの真価が問われます。

3つの番狂わせシナリオ

シナリオA:ハマー神懸かりでアランマーレ初制覇(確率:12%)

起こる条件:

  • SF①でブルーサクヤの攻撃をハマーが完封(阻止率.450超え)
  • ファイナルでも香川銀行の攻撃を封じる
  • 菊池杏菜選手がカウンターで効率よく加点

SF①でブルーサクヤと直接対決するアランマーレ。ハマー選手が欧州カップ戦で培った大舞台の経験を発揮し、サクヤの再編攻撃を止められれば——アランマーレの創設10年目での初制覇は夢ではありません。

シナリオB:ブルーサクヤが2位から逆転連覇(確率:25%)

起こる条件:

  • SF①でハマーの壁を攻略(バックコート陣が合計10点以上)
  • ファイナルで首位・香川銀行を撃破
  • 主力移籍後の再編がチーム全体を押し上げる

2位通過のブルーサクヤが、ハマーの壁と首位チームを連続で倒して連覇を達成する——これは「下克上」ではなく「王者の意地」のシナリオ。主力移籍後の再編を乗り越えるドラマです。

シナリオC:ハニービーが名門の底力を見せる(確率:10%)

起こる条件:

  • QFで熊本を撃破し、SF②で香川銀行に挑む
  • 馬場敦子選手が「当たり日」を迎え、香川の若い攻撃陣を封じる
  • 17大会連続の「代々木慣れ」が、大舞台での落ち着きに繋がる

QFからの勝ち上がりが必要なハニービーですが、17大会連続プレーオフの経験値は伊達ではありません。2024-25決勝の2点差の悔しさを、今度こそ晴らす可能性はゼロではありません。

注目ポイント7選

① 金城移籍後、サクヤの再編がどこまで進んだか

5/23のHC名古屋戦が、金城ありさ選手にとってブルーサクヤでの最後の公式戦でした。ここで疑問になるのは「じゃあ得点源の穴はどう埋まったの?」ですよね。バックコートの役割分担と、PV(ピボット)への配球がどれだけ機能するかが最大の観戦ポイントです。

② 岸本新監督の初プレーオフ

パリ五輪で世界を経験した岸本健太監督にとって、リーグHのプレーオフは初めて。「ゲームストーリーを意識する」哲学が、一発勝負の舞台でどう機能するか。試合の「設計図」通りに進むのか、それとも想定外の展開にどう対応するのか。タイムアウトのタイミングに注目です。

③ ハマー旋風はどこまで続くか

阻止率.424のフレヤ・ハマー。レギュラーシーズンでリーグ1位の数字を残しましたが、プレーオフは「研究された状態」で臨む試合。各チームがハマー対策を練ってくる中で、それでも止め続けられるか。欧州カップ戦の経験が活きる場面です。

④ ブルーサクヤ vs アランマーレ富山(SF①)

SF①は今大会最大の注目カード。2位ブルーサクヤ vs 3位アランマーレ。再編中の攻撃 vs ハマーの壁。前回の記事で分析した「攻撃 vs 守備」の構図が、ここで実現します。

⑤ 馬場敦子選手の雪辱戦 — QFから勝ち上がれるか

2024-25決勝で25-27。あと2点で届かなかった頂点。今シーズンのハニービーは4位通過のため、QFからのスタート。まずは熊本を倒し、SF②で首位・香川銀行に挑む必要があります。30歳のベテランGKが、長い道のりを勝ち抜けるか。

⑥ GK阻止率4傑の直接対決

今シーズンのGK阻止率上位4人が、すべてプレーオフに出場する可能性があります。

順位選手チーム阻止率
1フレヤ・ハマーアランマーレ富山.424
2馬場敦子選手ハニービー石川.404
3邉木薗結衣選手飛騨高山ブラックブルズ岐阜.378
4宝田希緒選手ブルーサクヤ鹿児島.377

※ スタッツは2026年3月1日時点の公式データに基づきます。

GKのパフォーマンスが勝敗を左右するプレーオフで、これだけのGKが揃う大会は稀。「誰が一番止めるか」ではなく、「誰がチームを勝たせるセーブをするか」に注目です。

⑦ 熊本ビューストピンディーズ — 5位枠からの挑戦

5位枠を勝ち取ったのは熊本ビューストピンディーズ。JHL時代からの強豪(旧・オムロンピンディーズ)が、QFでハニービー石川と対戦します。名門同士の一戦は、QFとは思えない緊張感になるはずです。

各試合の「ここを見ろポイント」

QF ハニービー石川 vs 熊本ビューストピンディーズ

  • 馬場選手の序盤のセーブ数。最初の10分で3本以上止めれば「当たり日」
  • ハニービーのベテラン陣が試合のテンポをコントロールできているか
  • 熊本がJHL時代の名門としての意地を見せるか

SF① ブルーサクヤ vs アランマーレ富山

  • 最大の焦点: サクヤのバックコート陣 vs ハマーの壁。前半でバックコート合計5点以上ならブルーサクヤペース
  • 岸本監督の「ゲームストーリー」通りに試合が進んでいるか。前半の得点ペースに注目
  • 菊池杏菜選手のカウンター。ハマー選手のセーブから速攻に繋がる回数

SF② 香川銀行 vs QF勝者

  • 首位通過の香川が「引き分けでも勝ち」のアドバンテージをどう活かすか
  • 岡田彩愛選手のパス配球。多彩な攻撃パターンで相手GKの「読み」を外せるか
  • QFを勝ち上がったチームの疲労度と勢いのバランス

FINAL

  • 後半残り10分のスコア差。3点以内なら「何が起きてもおかしくない」ゾーン
  • 延長戦になった場合の7mスローコンテスト。GKの駆け引きが最高潮に達する瞬間
  • サクヤの再編攻撃が、終盤のプレッシャー下でも崩れないか

初観戦者向け「ここを見れば1.5倍楽しい」TIPS

① GKのセーブ位置を観察する ハマー(欧州型・足上げ)、馬場(読み・データ型)、宝田(反応型)——GKごとにスタイルが違います。「手で止めたか、足で止めたか、体で止めたか」を見るだけで、GKの個性が見えてきます。

② 7mスロー成功率をカウントする 試合中の7mスロー(ペナルティスロー)が何本決まったかを数えてみてください。通常は70〜80%決まりますが、ハマーや馬場が出ている試合では50%台に下がることも。

③ PV(ピボット)経由の得点率に注目 ゴール前のPV(ピボット、ポストプレーヤー)にパスが通って得点になる回数を見てください。PV経由の得点が多い=セットオフェンスが機能している証拠。ブルーサクヤの笠井千香子選手のプレーに注目です。

④ 速攻の成功率 ボールを奪った直後の速攻(カウンターアタック)が何回成功したかを見てください。速攻は「相手の守備が整う前に攻める」ので、成功率が高いほどチームのトランジション(攻守の切り替え)が優れている証拠です。

プレイブックアプリ(作戦盤)を使えば、試合で見たフォーメーションを自分で再現しながら振り返ることもできます。

時系列で見るドラマ

最後に、プレーオフ前後の時系列を整理しておきます。

日付イベント
2025/5/23金城ありさ選手、ブルーサクヤ最後のリーグ戦(vs HC名古屋)
2025/11/4金城ありさ選手、韓国・三陟市庁で外国人選手登録公示
2026/6/12〜14プレーオフ(代々木)
2026/11月以降おりひめジャパン強化、ロス五輪世代の育成本格化

プレーオフは、一つのシーズンの終わりであると同時に、次の物語の始まりでもあります。


まとめ — 代々木で歴史が動く

2025-26リーグH女子プレーオフは、「連覇」「別れ」「旋風」「雪辱」——複数のドラマが交差する大会になります。

ブルーサクヤの連覇か、香川銀行の若き挑戦か、ハマーの壁が全員を止めるか、ハニービーの名門の意地か。

6月12日、代々木で何が起きるか。その答えは、コートの上にしかありません。

プレーオフ後には、結果を踏まえた振り返り記事をお届けする予定です。予想が当たったか外れたか、答え合わせをお楽しみに。


もっとハンドボールを楽しむために

📋 試合で見たフォーメーションを再現してみよう プレイブックアプリ(作戦盤)を使えば、プレーオフで見た攻撃パターンやディフェンスの形を自分で動かしながら振り返れます。

🧠 プレーオフ前に知識をチェック! Handball IQ 診断で、GKの技術やプレーオフのルールに関する問題に挑戦してみませんか?


出典