「金城ありさ選手がいないブルーサクヤって、どうなったの?」
2024-25シーズンの最終戦(5月23日・HC名古屋戦)を最後に、金城ありさ選手はブルーサクヤ鹿児島を離れました。2025年11月には韓国・三陟市庁での外国人選手登録が公示され、正式に海外移籍が確定。つまり2025-26シーズンは開幕から金城ありさ選手不在で戦ったシーズンです。
プレーオフにも最終戦にも出ていません。シーズンを通じて、いなかったんです。
それでもブルーサクヤはレギュラーシーズンを上位で駆け抜け、プレーオフ進出を決めました。この記事では、エース移籍後の再編がどう進んだのかを整理します。
時系列の整理 — 移籍はいつ起きたのか
まず事実関係を確認しておきます。
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 2025年5月23日 | 金城ありさ選手、ブルーサクヤ最後の公式戦(2024-25最終節 vs HC名古屋) |
| 2025年夏 | 移籍交渉・契約(韓国・三陟市庁) |
| 2025年11月4日 | 韓国ハンドボール連盟にて外国人選手登録公示 |
| 2025年11月〜 | 2025-26リーグH開幕。ブルーサクヤは金城選手不在で戦う |
| 2026年5月 | レギュラーシーズン終了、プレーオフ進出確定 |
ポイントは、移籍は2025年夏のオフシーズンに完了しているということ。2025-26シーズンの開幕時点で、すでに金城ありさはチームにいません。「シーズン途中で抜けた」のではなく、「最初からいない状態で1年間を戦った」のが正確な理解です。
金城ありさ選手とは何だったのか — ブルーサクヤにとっての存在
金城ありさ選手は、RB(ライトバック:右45度付近から1対1やミドルシュートを仕掛ける後衛ポジション)として、ブルーサクヤの攻撃の「起点」を担っていました。
具体的に何が強かったのか:
- 1対1の突破力: 相手ディフェンスを正面から崩せる個の力
- ミドルシュートの精度: 9mライン付近からGKの逆を突くシュート
- 終盤の決定力: 接戦の残り2分、苦しい場面で「この人に預ければ何とかなる」という安心感
2024-25シーズンの初代女王獲得は、この個の力がチーム戦術と噛み合った結果でした。
再編の3つの柱 — 岸本監督はどう設計したか
金城ありさ選手の穴を「誰か一人で埋める」のは現実的ではありません。岸本健太監督が選んだのは、チーム全体の設計で再現するアプローチでした。
柱① 攻撃の起点を分散させる
金城ありさ選手時代は「右サイドの1対1」が攻撃の第一選択肢でした。移籍後は、起点を一箇所に集中させず、複数のポイントから攻撃を仕掛ける設計に変更しています。
- センター(CB)からのゲームメイクの比重を上げる
- 左右のバックコート陣が均等に仕掛ける
- PV(ピボット:6mライン付近で体を張って受ける役割)への配球を増やす
「誰が最初のズレを作るか」を固定せず、相手の守備配置に応じて変える柔軟性を持たせた形です。
柱② 速攻比率を上げてセット攻撃の負担を減らす
セット攻撃(ハーフコートでの組み立て)でエースの不在が最も響きます。そこで、GK(ゴールキーパー)のセーブからの速いリスタートや、守備からの切り替え速度を上げることで、「相手の守備が整う前に攻める」速攻の比率を高めました。
速攻は「簡単な1点」を増やす手段。セット攻撃で苦しむ時間を減らす効果があります。
柱③ 守備で試合テンポを握る
攻撃の再現性が一時的に落ちるぶん、守備で失点を抑えてロースコアに寄せる——これが現実的な勝ち筋です。
ブルーサクヤはGK宝田希緒選手(阻止率.377、リーグ4位)を軸に、守備強度を維持できる土台があります。「打ち合いで上回る」よりも、「20点台のゲームに落とし込む」展開を意図的に作れるかどうかが、再編期のチーム力を測る指標になります。
結果 — 数字が示す再編の成果
レギュラーシーズンの結果を見ると、再編は一定の成果を上げたと言えます。
- 1試合平均31得点(リーグ最多)
- レギュラーシーズン上位でプレーオフ進出
- 10連勝を含む安定した勝率
エースが抜けたにもかかわらず、リーグ最多得点を記録している事実は注目に値します。「一人のエースに依存する攻撃」から「チーム全体で点を取る攻撃」への転換が、数字として表れています。
ただし、最終的にはレギュラーシーズン首位を香川銀行に譲り、2位通過となりました。シーズン終盤の勝負どころで、エースの「一発」がない影響が出た可能性はあります。
プレーオフに向けて — 残された課題
再編は進んだ。でも、プレーオフは別物です。
課題① 終盤の1本を誰が決めるか
プレーオフは、終盤の2〜3ポゼッション(1回の攻撃権)の質で決まることが多い。金城ありさ選手がいたときは、苦しい局面で1対1から強引にでも形を作れました。
今のブルーサクヤは、終盤の得点を「合算」で再現する必要があります:
- センターと右サイドの連続攻撃で守備を横にずらす
- 7mスロー(ペナルティスロー)を確実に取り切る
- GKからの速いリスタートで「簡単な1点」を増やす
課題② SF①でハマーの壁を越えられるか
プレーオフのSF①で対戦するのは、阻止率.424のフレヤ・ハマー擁するアランマーレ富山。分散型の攻撃がハマーの壁に通用するかどうかは、レギュラーシーズンとは異なる緊張感の中で試されます。
課題③ 「ゲームストーリー」が崩れたときの対応力
岸本監督の「ゲームストーリー」哲学——試合全体の設計図を共有して戦うスタイル——は、計画通りに進んでいるときは強い。問題は、想定外の展開になったとき。エースがいれば「個で打開」できた場面を、チームとしてどう乗り越えるか。
まとめ — プレーオフは金城選手移籍後の設計力が問われる場
2025-26シーズンのブルーサクヤは、エース金城ありさ選手の移籍という大きな転換点を経て、チーム全体で戦う形に再編されました。
レギュラーシーズンの結果は、再編の成功を示しています。しかし、プレーオフという一発勝負の舞台で、その設計がどこまで通用するかは未知数です。
見るべきポイントは3つ:
- 攻撃の起点分散が、ハマーの壁に通用するか
- 終盤の得点パターンを何本持てるか
- 守備強度で試合テンポを握れるか
6月12日からのプレーオフで、その答えが出ます。
出典(確認した情報)
- リーグH 公式(試合情報・日程・順位表): https://leagueh.jp/
- MBCニュース「金城ありさ選手 韓国移籍前ラストゲーム」(2025年5月報道)
- 南日本新聞「HC名古屋戦が最後」(2025年5月報道)
- 韓国ハンドボール連盟(外国人選手登録公示 2025/11/4): https://www.handballkorea.com/
- KYT鹿児島読売テレビ「ブルーサクヤ2年連続プレーオフ出場決定」(2026年5月報道)
- 鹿児島ニュースKTS「ブルーサクヤ鹿児島が10連勝」(2026年4月報道)
※本稿は2026年5月17日時点で公開情報に基づいて構成しています。