連覇か、それとも——。
2024-25シーズン、リーグH女子の初代女王に輝いたのはブルーサクヤ鹿児島でした。歓喜の優勝から1年。チームは再び頂点を目指してレギュラーシーズンを戦い抜きました。そして終盤には、エース移籍という大きな転換点も重なりました。
シーズン後にエースの移籍が公表され、プレーオフは「金城選手後」を見据える重要な分岐点になりました。つまり、連覇争いと再編準備が同時進行する、特別なシーズンなんです。
プレーオフ進出4チーム確定 — 5月11日時点
5月11日時点で、プレーオフに進出する上位4チームが確定しました。
| 順位 | チーム | 主な成績 |
|---|---|---|
| 1 | ブルーサクヤ鹿児島 | 25勝2分3敗・得点957(1試合平均31点、リーグ1位) |
| 2 | 香川銀行GiraSol kagawa | — |
| 3 | アランマーレ富山(5/11確定) | — |
| 4 | ハニービー石川(5/10確定、17大会連続25回目) | — |
※ 順位表は League H 公式 2026年5月11日時点のデータに基づきます。
1試合平均31得点はリーグ最多。ブルーサクヤの攻撃力が突出していることがわかります。
5位枠は最終節に持ち越し
5位のプレーオフ進出枠は、まだ決まっていません。熊本ビューストピンディーズ、三重バイオレットアイリス、飛騨高山ブラックブルズ岐阜の3チームが争っており、5月16〜17日の最終節で決着がつきます。
最終節まで目が離せない展開——これもリーグH女子の魅力です。
ブルーサクヤ鹿児島 — 「ゲームストーリー」を描く知将と再編の入り口
新監督・岸本健太監督の哲学
今シーズンからブルーサクヤを率いるのは、岸本健太監督。讃岐弁の柔らかい語り口の裏に、緻密な戦術眼を持つ知将です。
パリ五輪では日本代表コーチとして世界の舞台を経験。その経験を持ち帰り、ブルーサクヤに落とし込んだのが**「ゲームストーリーを意識する」**という哲学です。
「ゲームストーリー」とは、試合を一つの物語として捉える考え方。「前半はこう入って、中盤でこう揺さぶり、終盤にこう仕留める」という試合全体の設計図を、選手全員が共有して戦うスタイルです。
この哲学が浸透した結果が、1試合平均31得点というリーグ最多の攻撃力。ただ点を取るのではなく、「いつ、どこで取るか」をコントロールできるチームに仕上がっています。
エース移籍 — 「金城選手後」に向けた最初のプレーオフ
シーズン後にエースの移籍が決まっていることは、チームにとって大きな意味を持ちます。
「このメンバーで戦える最後の大会」——その事実が、プレーオフに向けてチームの結束をさらに強めているのか、それとも重圧になっているのか。答えはコートの上で明らかになるでしょう。
香川銀行GiraSol kagawa — 大体大OG軍団の若き挑戦者
2位に入った香川銀行GiraSol kagawa。監督は亀井好弘氏。
このチームの特徴は、大阪体育大学(大体大)のインカレ12連覇を支えたOG選手たちが中心を担っていること。大学時代から勝ち方を知っている選手たちが、そのままチームの骨格を形成しています。
日本選手権での「撃破」
香川銀行の実力を象徴するのが、2024-25日本選手権でのブルーサクヤ戦です。スコアは34-27。7点差をつけての完勝でした。
リーグ戦とカップ戦は別物とはいえ、「ブルーサクヤを倒せる」という自信と実績を持ってプレーオフに臨めるのは大きなアドバンテージです。
若さゆえの勢いと、勝者のメンタリティ。この二つを兼ね備えた香川銀行は、プレーオフで最も怖い存在かもしれません。
アランマーレ富山 — デンマーク人GKが起こした旋風
創設10年目にして過去最高順位の3位。アランマーレ富山の躍進を語るうえで欠かせないのが、デンマーク人GK(ゴールキーパー)フレヤ・ハマーの存在です。
阻止率.424 — リーグ1位の壁
| 選手名 | ポジション | 主要スタッツ |
|---|---|---|
| フレヤ・ハマー | GK | シュート阻止率 .424(リーグ1位) |
| 菊池杏菜 | LB(レフトバック) | 日本代表 |
※ スタッツは2026年3月1日時点の公式データに基づきます。
阻止率.424——つまり、相手のシュートの約42%を止めているということです。GKの阻止率は.300(30%)を超えれば優秀とされる世界で、.424は異次元の数字と言っていいでしょう。
ハマー選手の存在によって、アランマーレのディフェンスは「多少崩されてもGKが止めてくれる」という安心感のもとで戦えています。これがチーム全体の守備の積極性にもつながっている好循環です。
菊池杏菜選手の得点力
攻撃面では、日本代表のレフトバック・菊池杏菜選手が健在。左サイドからの力強いシュートでチームの得点源を担っています。
「守りのハマー選手、攻めの菊池選手」——この二本柱が噛み合ったとき、アランマーレは上位チームにも十分に対抗できる力を持っています。
ハニービー石川 — 法人化後の初プレーオフ、そして雪辱
17大会連続25回目のプレーオフ進出。この数字が示す通り、ハニービー石川(旧・北國銀行ハニービー)は女子ハンドボール界の名門です。
法人化とチーム名変更を経て迎えた今シーズン、新たな看板を背負っての初プレーオフとなります。
2点差の悔しさ
忘れられないのは、2024-25シーズンの決勝戦。ブルーサクヤに25-27で敗れた2点差の悔しさです。
ハンドボールの2点差は、最後のワンプレーで追いつける距離。「あと一歩」で届かなかった頂点への思いを、今シーズンのプレーオフにぶつけてくるはずです。
プレーオフへ — 3つの見どころ
レギュラーシーズンの結果を踏まえて、プレーオフの見どころを3つ挙げておきます。
見どころ① ブルーサクヤは「金城選手後」の設計を示せるか?
エース移籍が公表された中での連覇挑戦。ここで注目したいのは、穴埋めを誰か一人に背負わせるのではなく、攻撃の起点をどう再配分するかです。岸本監督の「ゲームストーリー」が、再編初期にどんな設計を見せるのか注目です。
見どころ② ハマー選手の壁を攻略できるチームは現れるか?
阻止率.424のフレヤ・ハマー選手。レギュラーシーズンでこの壁を攻略しきれたチームは多くありません。プレーオフの緊張感の中で、各チームがどんなシュートセレクション(シュートを打つ場面の選び方)で挑むかが鍵になります。
見どころ③ 香川銀行の「日本選手権の再現」はあるか?
ブルーサクヤを34-27で破った実績を持つ香川銀行。リーグ戦の順位では2位ですが、直接対決での自信は本物です。プレーオフでブルーサクヤと再び相まみえたとき、あの日の再現ができるか。
まとめ
2025-26リーグH女子は、初代女王ブルーサクヤの連覇挑戦を軸に、香川銀行の若い力、アランマーレのハマー旋風、ハニービーの雪辱と、それぞれのドラマが交差するシーズンになりました。
5位枠の行方も含め、最終節からプレーオフまで一瞬も目が離せません。
次回の記事では、金城ありさ選手の移籍がブルーサクヤのプレーオフ設計に与える影響を、時系列で整理します。
もっとハンドボールを楽しむために
🧠 あなたのハンドボール知識をチェック! Handball IQ 診断で、ルールから戦術まで幅広い知識を試してみませんか? 初心者から上級者まで楽しめる問題を用意しています。
📋 戦術をビジュアルで理解する プレイブックアプリ(作戦盤)を使えば、ディフェンスやオフェンスのフォーメーションを自分で動かしながら学べます。
出典
- League H 公式 順位表: https://leagueh.jp/rankings/
- 南日本新聞: https://373news.com/
- ブルーサクヤ鹿児島 公式: https://bluesakuya.jp/
- アランマーレ富山 公式: https://aranmare.com/
- ハニービー石川 公式: https://honeybee-ishikawa.jp/