目の前の6人を守っていたら、ベンチ側からもう1人が走り込んでくる。 「あの選手は誰が見る?」と声をかけたときには、もうパスが渡っている。

そんな一瞬を狙うのが、今回のセットプレーです。 最初は6人で攻め、途中でGK(ゴールキーパー)を下げます。 交代した7人目が、守備の担当が決まる前にゴールへ向かいます。

合わせたいのは、左からボールが戻る瞬間と、7人目が右から加わる瞬間です。

チームで合わせること見る場面
6人で左側を攻め、守備の視線を集める左サイドから左バックへ返すところ
GKの退出を確認し、7人目が右側へ走るセンターが中央の6m付近へ切り込むところ
対角パスを送り、動きながら受けて攻める守備が新しい相手へ寄り切る前

7人目が入るだけでは、守備は崩れません。 もとの6人の動きと重ねて、相手に対応を決め直させるのが狙いです。

GIFでは、右奥から走り込む選手に注目

左側のパス回しとセンターの切り込みに合わせ、ベンチ側から7人目が参加。左バックの対角パスを受けて突破するセットプレー

左側へボールが動く間、7人目はベンチ側で待ちます。センターが中央へ切り込むのに合わせて加わり、反対側からのパスを受けます。

3D作戦盤で「ベンチから7人目攻撃」を動かして見る

GIFは攻撃の動きを示す模式図です。 7人目の待機位置もコート上に描かれていますが、実際はコート外で待ちます。 自チームのGKの退出と、交代ラインを通る動作は省略しています。

今回は、攻撃方向の右側にベンチがある場面を想定しています。 反対側なら、左右を入れ替えて考えてください。

まずは「普通の6人攻撃」に守備を向ける

最初から7人を並べると、守備もその人数に合わせて準備できます。 今回使いたいのは、相手がまだ6人への対応を続けている時間です。

まずCB(中央のバック)が、LB(左バック)へパスを出します。 LBからLW(左サイド)へつなぎ、ボールを左側へ動かします。

このとき、左側の選手がただ順番にパスを回すだけではもったいないんです。 前が空けば、そのままシュートへ向かえる姿勢で受けます。 目の前に得点の危険があれば、守備も左側を見続けなければなりません。

その間にCBは一度右へ動き、RB(右バック)は中央から左寄りへ回ります。 右側には、あとから加わる7人目が走り込める場所ができます。

センターが中へ切る瞬間に、7人目が加わる

LWがLBへボールを返すころ、CBが中央の6m付近へ切り込みます。 ここでいう「切る」は、バックの位置からゴールに近い場所へ走り込む動きです。

PV(ゴール前で守備の間に立つポスト)は、中央から少し左へ動きます。 CBも中へ入るので、中央の守備はゴール前の2人を気にする必要があります。 ボールは左、中には走り込むCB。 右から増える選手へ目を向けるのが遅れる場面を作ります。

この動きに合わせ、GKとの交代を済ませた7人目が右バックの位置へ走ります。 早く入りすぎて立って待つと、守備に担当を決める時間を与えてしまいます。 反対に遅すぎると、LBがボールを持ったまま待つことになります。

練習では「左サイドから返すころに、7人目が走り込んでくる」を目安にします。 ただし、ベンチから受ける場所までの距離は会場や攻撃位置で変わります。 GKが交代ラインまで戻る時間も含め、実際のコートで合わせてください。

対角パスを受けたら、守備がそろう前にゴールへ

LBは戻ってきたボールを、右側の7人目へ直接送ります。 GIFでも、中央を経由せず、左から右へ長い対角パスが渡っています。

7人目はパスを待つために止まらず、ゴールへ向かう流れの中で受けます。 狙うのは、攻撃側から見て右端の守備と、その隣の守備の間です。 中央の守備がCBへの対応に残っていれば、戻る前にその隙間を攻めます。

RW(右サイド)は、外側で幅を取っておきます。 GIFでは7人目がそのまま突破してシュートします。 練習で加えたい次の選択肢は、右端の守備が中へ寄ったときのRWへのパスです。

ただし、対角パスの通り道に守備がいるなら、予定どおりに投げる必要はありません。 7人目の参加に気づかれ、正面をふさがれた場合も同じです。 無理に突破せず、ボールを動かして次の人数差を探します。

その続きは、中央から片側に3対2を作る7人攻撃につなげられます。 奇襲で終われなくても、7人で攻める形へ移れるようにしておきたいですね。

7人目は、GKが出てから入る

「ベンチから急に出ていいの?」と思うかもしれません。 退場者がいない場面なら、GKを含めてコート内は最大7人です。 GKを下げ、その代わりに7人目のコートプレーヤーを入れることができます。

ただし、交代するGKがコートを出るのが先です。 7人目を先に入れて、あとからGKを下げることはできません。 出るGKも入る選手も、自チームの交代ラインを通ります。 ゴールに近い好きな場所から飛び込むプレーではありません。

この前提は、日本ハンドボール協会の2026年度競技規則の4:1、4:4〜6で確認できます。 不正交代や余分な選手の入場は、2分間退場の対象になります。

7人攻撃そのものの仕組みは、GKを下げて攻める理由とリスクでも紹介しています。

奇襲を練習するなら、攻め終わったあとの交代もセットで

最初の練習では、7人目のシュートだけを成功の基準にしないようにします。 GKが出てから入れているか。 LBが待たずにパスを出せるか。 7人目が前を向いて受けられるか。 この3つが合う速さから始めてみてください。

次に守備をつけ、7人目に早く気づいた場合も試します。 右端の守備が寄ればサイドへつなぐ。 パスの道が閉じたら、左側で攻め続ける。 守備の反応によって続きを変えると、決まった動きだけの練習になりません。

もう一つ合わせたいのが、攻撃を終えたあとの戻り方です。 GKを下げている間は、自分たちのゴールが空いています。 対角パスを奪われたり、シュートを相手に取られたりすれば、直接狙われます。

誰が交代ラインから出て、GKを戻すのかも先に決めておきます。 GKが戻るときも、交代する選手がコートを出たあとに入ります。 ベンチに近い選手の位置を含め、シュート後まで続けて練習すると確認しやすくなります。

このプレーの面白さは、相手が守る人数を途中で変えられるところです。 左のボール、中央へ切るCB、右から加わる7人目。 3つを同じ時間帯に重ねて、守備が追いつく前の一瞬を使ってみてください。

次の攻め方も探してみる