試合が終わり、スコアを見る。10点足りない。
「シュートまで行けなかったのかな」と思いますよね。
男子U-21日本代表が敗れた4試合を足すと、少し変わった数字が出ます。
日本のシュートは190本。相手は189本でした。
打った本数は、ほぼ同じです。それでも得点は109対119でした。
この10点差は、どこで生まれたのでしょうか。
最初に見るのは、この3つ
細かな数字へ入る前に、持ち帰りたい答えを並べます。
| 見る数字 | 日本 | 相手 |
|---|---|---|
| シュート | 109/190 | 119/189 |
| 6mシュート | 15/27 | 29/42 |
| 前半の合計 | 60 | 56 |
| 後半の合計 | 49 | 63 |
日本は相手より1本多く打っています。
差が出たのは、ゴールに近い6mと後半でした。
試合映像を見るなら、次の3つから始めると流れを追いやすくなります。
- 9mシュートを打つ前に、ほかの選択肢は残っていたか
- 後半最初の3攻撃で、相手の変化にどう答えたか
- 6mシュートや7mスローを作る場面まで入れたか
この3つを頭に置いて、4試合の数字をたどります。
2勝4敗でB組6位。4つの敗戦を並べる
日本は7月23日時点で2勝4敗。B組を6位で終えました。
インドとイランには勝利。ほかの4試合は、すべて5点差以内でした。
IHFの大会記事では、日本が前回まで2大会連続で優勝していたことも紹介されています。今回はB組6位となり、準々決勝には届きませんでした。
| 対戦相手 | 結果 | 日本のシュート | 相手のシュート | TO 日本-相手 | 前半 | 後半 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| アラブ首長国連邦 | 29-32 | 29/48 | 32/45 | 8-9 | 17-14 | 12-18 |
| カタール | 25-29 | 25/53 | 29/50 | 8-11 | 13-15 | 12-14 |
| クウェート | 29-30 | 29/45 | 30/49 | 15-11 | 16-13 | 13-17 |
| 韓国 | 26-28 | 26/44 | 28/45 | 11-12 | 14-14 | 12-14 |
TOはターンオーバーの略です。得点せずに攻撃権を失った回数を表します。
表のTOには、IHFのプレー記録にあるチーム全体のターンオーバーも含めました。
4試合のシュート成功率は、日本57.4%、相手63.0%です。
攻撃回数を作れなかったというより、同じ機会を高い確率で得点にしたのが相手でした。
シュート成功率の見方を知っていると、この先の数字が読みやすくなります。
ターンオーバーだけでは、4敗を説明できない
4敗のターンオーバーは、日本42回、相手43回でした。
クウェート戦の15回は重い数字です。1点差の試合なら、ひとつのミスも響きます。
ほかの3試合では、日本の回数は相手以下でした。
「パスミスが多かったから負けた」だけでは、4試合を同じ形で説明できません。
ボールを失わずにシュートまで行った。その先で差がついています。
どこから打ったのか。どんな体勢で打ったのか。
次に見るのは、シュートの場所です。
9mで取った点を、6mで返された
4敗の位置別シュートを足すと、攻撃の形が見えてきます。
| シュート | 日本 | 相手 | 差 |
|---|---|---|---|
| 9m | 32/69 | 24/49 | 日本が20本多く打った |
| 6m | 15/27 | 29/42 | 相手が14点多く取った |
| 7m | 11/15 | 15/21 | 相手が6本多く獲得した |
| 速攻得点 | 2 | 7 | 相手が5点多く取った |
速攻は位置別シュートと重なることがあります。各行を足して総得点にはできません。
日本は9mから32点を取りました。相手より8点多い数字です。
9mシュートが失敗だったわけではありません。
気になるのは本数です。日本は相手より20本多く9mから打っています。
6mでは、日本15点に対して相手29点。ここだけで14点の差がつきました。
日本は9mなどで差を戻しました。それでも試合全体では10点届いていません。
ゴール前まで入れた回数の違いが、数字に出ています。
6mを増やすには、ピボットへのパスだけを狙う必要はありません。
DFを動かし、1対1で間を割る。逆側のウイングまで運ぶ。7mスローを取る。
セットプレーの二次攻撃で触れたように、最初の動きのあとも攻撃を続けることが近いシュートにつながります。
「決定力不足」で終えると、練習がぼやける
成功率が低いと、「最後に決め切れなかった」と言いたくなります。
シューターだけを見ても、答えは出ません。
DFとの距離はあったか。ゴールの正面へ入れたか。GKを見る時間はあったか。
同じ1本でも、フリーの6mとDF越しの9mでは難しさが違います。
カタール戦は53本を打ち、25得点でした。成功率は47%です。
「もっと打つ」では練習が決まりません。
減らしたいシュートと、増やしたいシュートを分ける必要があります。
数字は決定力を責める道具ではありません。
映像のどこを見直すか。次の練習で何を変えるか。その入口です。
4敗すべてで、後半の得点が下がった
前半の合計は、日本60点、相手56点でした。
4試合をまとめると、日本が4点上回っています。
後半は日本49点、相手63点。今度は14点の差がつきました。
| 対戦相手 | 前半 | 後半 |
|---|---|---|
| アラブ首長国連邦 | 17-14 | 12-18 |
| カタール | 13-15 | 12-14 |
| クウェート | 16-13 | 13-17 |
| 韓国 | 14-14 | 12-14 |
ベンチでハーフタイムを終え、コートへ戻る。
前半に通った攻撃が、急に重く感じることがあります。
相手のDFが一歩前へ出た。マークを受け渡す場所が変わった。GKがコースを待ち始めた。
どの変化があったかは、数字だけでは決められません。
映像では終盤だけを切り取らず、後半最初の3攻撃を見てください。
相手は何を変えたか。日本は同じ攻撃を続けたか。最初の修正は何分に入ったか。
この短い時間に、後半の14点差へつながる手がかりがありそうです。
4試合は、同じ負け方ではなかった
アラブ首長国連邦戦は、前半の3点リードが消えた
前半は17-14。後半は12-18でした。
相手の成功率は71%。6mは日本2点、相手6点です。
前半に通った攻撃を、相手が後半にどう止めたのか。最初に見返したい試合です。
カタール戦は、53本打って25得点
日本の53本は、4敗で最多でした。
9mは10/25、6mは3/7です。
相手GKにコースを読まれたのか。DFとの接触を受けながら打ったのか。
記録だけでは分かりません。映像と重ねる価値があります。
クウェート戦は、成功率で上回って1点差負け
日本の成功率は64%。クウェートは61%でした。
差が出たのは7mです。日本は1/1、クウェートは9/10でした。
日本のターンオーバーも15回ありました。
7mスローの判定を思い出すと、相手がゴール前で多くの決定機を作ったことが分かります。
韓国戦は、9mが互角で6mに差
シュート本数は44対45。9mは日本7/15、韓国7/16でした。
6mは日本2/5、韓国7/10です。
遠い位置の勝負は互角でした。ゴール前の本数と成功率で差がついています。
イラン戦は、別の勝ち方を見せた
日本が28-27で勝ったイラン戦も見逃せません。
成功率は日本62%、イラン69%。数字だけなら相手が上です。
日本は45本を打ち、イランは39本でした。
成功率の差を、6本多いシュートで埋めています。
近いシュートを増やすだけが勝ち方ではありません。
守備から攻撃回数を増やす。相手より多くシュートを打つ。
イラン戦は、その形で1点を取り切りました。
次の試合では、シュートの「前」を見る
日本は、シュートを打てなかったわけではありません。
4敗で190本。相手より1本多く打ちました。
増やしたいのは本数ではなく、良い状態で打てる一本です。
9mシュートの前に、ピボットやウイングは使えたか。
後半の最初に、相手の変化へ答えられたか。
6mや7mまで入る攻撃を、何回作れたか。
この問いを持つと、スタッツは試合後の記録で終わりません。
次の映像を見る場所が決まり、練習で直す場面も見えてきます。
日本協会の大会ページによると、日本は7月25日に香港との11位決定戦を戦います。
4敗の数字を、次の一戦を支える材料として見ていきたいですね。
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