「1回クロスしたけれど、DFにきれいに受け渡されて終わった」。そんな場面、よくありますよね。

クロスは、交差しただけでDFが崩れる魔法の動きではありません。1回目に対応されたなら、その直後にもう一度DFへ判断を迫る。

今回紹介する「CBとLBの2回クロス」は、まさにその考え方を使ったセットプレーです。

一言でいえば、1回目の仕掛けで前へ上がった3枚目DFを下げさせず、連続クロスで前後・左右に揺さぶり、最後はLWまで展開する形です。

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CBとLBが2回クロスし、3枚目DFを前に残してLWへ展開する動き

この形は、6対6で6-0DFを攻めるセットプレーです。CBとLBが続けて仕掛け、最後はLW(レフトウイング)のシュートまでつなげます。

プレー名は「CBとLBの2回クロス」ですが、実際には2人だけで完結しません。中央を支えるPV(ピボット)と、最後まで外側の幅を保つLWまで役割を果たすことで、2回の交差が得点へつながるんです。

ここでいう「3枚目DF」は、LBの正面から中央寄りを守る選手のことです。DF番号の数え方が違うチームでは、自分たちの呼び方に読み替えてください。

このプレーの狙いは、上がった3枚目DFを下げさせないこと

最初の仕掛けに対して3枚目DFが前へ上がったら、このプレーはそこからが本番です。

攻撃側は一度ボールを戻してDFを休ませるのではなく、CBとLBが続けて仕掛けます。3枚目DFは前に出た位置から後ろへ下がる時間を与えられず、次のボール保持者へ対応しながら、左右の受け渡しも判断しなければなりません。

つまり、このプレーの狙いは「クロスで一気に抜くこと」ではなく、一度上がった3枚目DFを高い位置に残し、次の問いを休まず続けることです。

3枚目DFが前に残れば、その背中側や隣のDFとの間が広がります。周囲のDFが助けに寄れば、最後にLWへ展開するパスコースが生まれます。

クロスプレーの基本で紹介したダブルクロスを、「3枚目DFを下げさせない」という目的で連続させ、LWのフィニッシュまでつないだ形だと考えると分かりやすいでしょう。

動きを順番に見てみましょう

1. CBからLBへ預け、LBが中央方向へ仕掛ける

スタートはCBのボール保持です。CBは左側のLBへパスを出します。

大事なのは、LBがその場でボールを返さないことです。少しゴール方向、そして中央方向へ入ることで、正面のDFへ「LBがそのまま攻めるかもしれない」と思わせます。

この一歩が弱いと、DFは動きません。パス交換だけが速くても、DFの位置が変わらなければセットプレーは始まっていないんです。

2. LBからCBへ返し、CBが右側へ流れる

LBは中央へ圧力をかけたあと、CBへボールを戻します。CBはリターンパスを受けながら右側へ移動します。

ここで注目したいのが、LBの仕掛けに対して前へ上がった3枚目DFです。

LBがボールを返したからといって、3枚目DFを元の6mライン付近まで下げさせてはいけません。CBは間を空けずに次の仕掛けへ入り、3枚目DFを高い位置へ残します。

1回目の目的は、フリーを作ることではなく、3枚目DFを前へ引き出すこと。シュートまで行けなくても、DFが高い位置に残れば次のクロスを始める準備はできています。

3. 3枚目DFが下がる前に、次のクロスへ入る

ここでCBがボールを持って止まると、3枚目DFは元の位置へ戻れます。大切なのは、3枚目DFが下がり始める前に、次のボール保持者がもう一度ゴールへ圧力をかけることです。

3枚目DFからすれば、前の選手へ対応しながら、背中側のスペースと隣のDFとの受け渡しまで確認しなければなりません。

この「下がりたいのに下がれない時間」を続けることが、2回クロスの核です。

4. LBが続けて仕掛け、3枚目DFをもう一度揺さぶる

2回目の大きな仕掛けがここです。

LBは、3枚目DFが高い位置に残っている間に、CBとの交差から再びゴールへ向かいます。

見るべきなのは、LBがボールを受けた場所より、3枚目DFが前へ出たまま、どちら向きでLBを迎えたかです。

3枚目DFがCBを見たままLBへ対応すれば、足と体の向きがそろいません。LBを早く止めようと横へ動けば、背中側や隣のDFとの間が開きます。

LBは横向きでパスを受けるのではなく、ゴールへ向かえる体勢で受けます。3枚目DFが対応し続けなければならない強さで仕掛けるから、最後の展開が生まれます。

5. DFを中央へ引きつけ、最後はLWへ展開する

2回目のクロスでDFを中央へ寄せたら、最後はLWへ展開します。

連続クロスに対応するため、3枚目DFと周囲のDFが中央へ引きつけられます。3枚目DFが高い位置に残り、そのカバーへ隣のDFが寄ると、外側を守るDFは中央を助けるのか、LWを残すのか迷います。

その瞬間に外へボールを運び、LWがシュートへ入ります。

LWは早く内側へ入るのではなく、DFが中央へ寄るまで幅を保つことが大切です。この「外で待つだけではなく、揺さぶりが効いた瞬間にフィニッシュへ入る」動きは、ウイングのコンビネーションと同じ考え方です。

PVは、中央DFを自由に動かさない

連続クロスが続く間も、PVは中央DFへ関わり続けます。

PVまでボールを追いかけると、3枚目DFの背中側や隣のDFとの間が狭くなります。大切なのは、上がった3枚目DFが簡単に下がれない位置を作り、周囲のDFも自由にカバーへ動けないようにすることです。

ここがポイントで、PVはパスを受けなくても仕事をしています。中央DFをその場に残せれば、最後のLWへの展開が生きるんです。

LWまで回す前に、空いた選択肢を逃さない

このプレーの基本形はLWへの展開です。ただし、実戦で毎回そこまでパスを続ける必要はありません。DFの反応を見て、先に空いた場所があればそこで勝負します。

3枚目DFが下がったなら、LBがそのまま打つ

2回目のクロスでLBが前を向き、3枚目DFが下がって守るなら、無理にLWまでパスを続ける必要はありません。LBがシュートへ入ります。

中央DFがLBへ2人寄れば、PVを見る

LBへ中央DFが重なれば、PVのマークが薄くなります。DFの腕の下や横を通せるなら、PVへの短いパスが選択肢になります。

DFが中央へ寄れば、LWへ展開する

3枚目DFが前に残り、そのカバーで外側DFが中央へ寄ったら、最後はLWへ展開します。

受け渡しを先回りされたら、CBへ戻して攻撃を続ける

DFが先回りし、LBへのパスコースを完全に消してきたら、無理にクロスを完成させなくても構いません。

パスのスーパーキャンセルで紹介したように、パスは「出せること」と同じくらい「出す直前にやめられること」が大切です。CBへ戻し、通常の攻撃へつなげます。

成功させる5つのポイント

1. 1回目にもシュートの怖さを出す

「どうせ2回目まで続く」とDFに読まれたら、1回目はただの準備運動になります。LBもCBも、DFが来なければ自分で打つ姿勢を見せます。

2. 交差する2人の距離を離しすぎない

クロスの距離が遠いと、DFは受け渡す必要がありません。それぞれが自分の担当をそのまま守れます。

ただし、衝突するほど近づくのも危険です。練習では「どこで肩がすれ違うか」を決め、毎回同じ交差点を通れるようにします。

3. 2回目まで止まらない

1回目のあとにCBがボールを持って立ち止まると、3枚目DFは元の位置へ戻れます。パスを受ける前から、次に走るLBと目線や合図を合わせておきます。

4. LWは早く内側へ入りすぎない

LWが早く中へ入ると、外側DFも一緒に中央へ寄れます。連続クロスで3枚目DFと周囲のDFが引きつけられる瞬間まで幅を保ちます。

5. PVはボールを追いかけない

LWへ展開するからといって、PVまでボール側へ移動するとスペースが消えます。3枚目DFと周囲のDFが簡単にカバーへ動けない位置を優先します。

反対に、動きの順番は合っているのにDFが崩れないときは、全員が「次の場所へ移動すること」だけを考えていないか確認してみてください。最初のLBが横パスを返すだけだったり、CBが一度止まったりすると、3枚目DFは簡単に元の位置へ戻れます。LWが早く中へ入り、PVまでボール側へ動けば、せっかく作ったスペースも消えてしまいます。

セットプレーは、決めた順番どおりにパスを出すものではありません。全員がゴールへ向かうから、次のパスが空くんです。

練習では、形より判断を少しずつ増やしましょう

最初はDFを置かず、パスの順番と交差する場所をそろえます。特に、CBがボールを受け直す位置と、2回目にLBが入るタイミングを合わせます。

次に、3枚目DFとその周囲のDFだけを置きます。3枚目DFには「前に残る」「下がる」、周囲のDFには「受け渡す」「LBへ寄る」のどれかを自由に選んでもらいます。攻撃側は、LBシュート、PV、LW展開のどれを選ぶか練習します。

最後に6対6へ移り、LWまで回すことを成功条件にしないようにします。途中で良いシュートが生まれたら、そこで終わって構いません。

このプレーがチームの武器になったかを確かめるなら、最初の狙いをDFに消してもらってください。それでも次の選択肢へ移れるなら、チームで持っておきたいセットプレー4〜6本のうちの1本として数えられます。

まとめ——3枚目DFを下げさせず、次の仕掛けを続けられるか

このセットプレーの核は、1回目のクロスでフリーを作ることではありません。

1回目で3枚目DFを前へ引き出し、下がる時間を与えずに2回目を始める。そして3枚目DFを高い位置へ残したまま周囲のDFを中央へ集め、最後はLWまでボールを届けます。

ただし、LWまで回すことが目的になってはいけません。途中でLB、PV、CBなどが空けば、そこで勝負します。

セットプレーを「決められた答え」ではなく、一度上がった3枚目DFへ次の問いを休まず続ける仕組みとして使ってみてください。

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