ハンドボールのDFで、「とにかくシュートを止めよう」としていませんか?
強いチームがやっているDFは、「シュートを打たせない」ではなく、**「悪い体勢で打たせて、GKに取らせる」**という考え方です。
ファウルで止める、パスカットで奪う——もちろんそれも大事なDFです。でも、それだけでは守りきれない場面は必ず来ます。そこで重要になるのが、「打たせるけど、質を下げる」という発想です。
バスケットボールの「コンテストショット」に近い考え方。相手のシュート成功率を下げること自体がDFの成果なのです。
「悪い体勢で打たせる」とは
具体的には、以下の状態でシュートを打たせることを目指します。
| 状態 | 効果 |
|---|---|
| 体が流れた状態 | ジャンプの頂点ではなく着地際に打たせる。コントロールが落ちる |
| 視野が制限された状態 | DFの腕や体でゴールが見えない中で打たせる |
| 角度が限定された状態 | 正面ではなく、角度のない位置から打たせる |
| 腕の振りが制限された状態 | 体を寄せてテイクバックを奪う |
| 判断が遅れた状態 | DFの動きで迷わせ、射出タイミングがワンテンポ遅れる |
こうした状態でのシュートは、コース・スピード・精度が落ちます。GKにとっては「読みやすい」「反応しやすい」シュートになるのです。
場面別:具体的なDFの動き方
バックプレーヤーへの対応(9mシュート)
アプローチのタイミング: 相手がボールを受けた瞬間ではなく、シュートモーションに入った瞬間に前に出ます。相手の重心が前足に移ったタイミングが最適です。早すぎるとかわされ、遅すぎると自由に打たれます。
腕の使い方: 片腕を高く上げてシューターの視野を遮ります。ゴールの上半分が見えなくなるだけで、シュートの選択肢は大幅に減ります。
体の寄せ方: 正面からぶつけるのではなく、シューターの利き腕側に半身で寄せます。テイクバックのスペースを奪い、腕の振りを制限します。ただし完全にぶつけるとファウルになるため、「触れるか触れないか」の距離感が重要です。
サイドシュート(ウイング)への対応
ウイングへの対応は、シュートの前にスペースを潰すことが基本です。
素早く距離を詰める: ウイングにボールが渡った瞬間に距離を詰め、シュートを打つスペース自体を奪います。遠い位置から腕だけ伸ばしても意味がありません。
GKとの役割分担: ウイングシュートはGKとDFの連携が特に重要です。「GKがどこを守るか」が決まっていれば、DFはそれ以外のコースを体で消す動きに集中できます。
体を入れて角度を奪う: DFが体を入れることで、シューターが使える角度そのものを狭めます。角度が狭いほどGKは守りやすくなります。
注意: 最近はウイングシュートに対して少しでも横から接触すると退場ペナルティが科される傾向にあります。接触せずにプレッシャーをかけること(距離を詰める・コースに体を入れる)が特に重要です。
ブレイクスルー(突破)への対応
1対1で仕掛けられる場面。ここでも「打たせて取る」は有効です。
抜かせる方向を決める: DFが半身でポジションを取り、相手が突破できる方向をコントロールします。利き腕と逆側に抜かせれば、シュートの体勢が不利になります。
不利な位置からシュートを打たせる: コースを限定した状態で抜かれるなら、それはOK。DFが片側に追い込めていれば、GKはシュートコースを予測しやすくなり、セーブ率が上がります。
GKとの連携 — 「打たせるコース」を事前に決める
この戦術の核心は、DFとGKが**「どのコースに打たせるか」を事前に共有すること**です。
基本の役割分担
- DFが消すコース: 近い側の上下、正面上
- GKが守るコース: 遠い側の上下
DFが体を寄せて正面と近い側を消せば、シューターの選択肢は遠い側の上か下に限定されます。GKは2択で待てるため、セーブ率が大幅に上がります。
コミュニケーション方法
- 試合前ミーティング: 「DFは近い側を消す、GKは遠い側で待つ」を原則として全員で共有
- GKからの声かけ: 得点を決められた後などに「あの場面は遠めに打たせてくれれば取れた」「近めは任せた」といった調整をします。プレー中は声が届きにくいので、流れが切れたタイミングで短くすり合わせるのが現実的です
- ハーフタイムの修正: 前半の相手シュート傾向を分析し、後半の役割分担を微調整
よくある失敗パターン
止めようとして飛びすぎる
DFがブロックを狙ってジャンプすると、着地するまでの間にパスを出されてフリーの味方にシュートを打たれます。地面に足をつけたまま腕を上げるほうが安定します。
GKとの意思疎通がない
DFが「なんとなく」寄せても、GKが何を消しているか分からなければ効果は半減します。必ず事前に役割を共有してください。
全部自分で止めようとする
DFが1人で全コースを消そうとすると、中途半端なポジションになり、逆に打ちやすくなります。**「自分の担当コースだけ確実に消す」**を徹底することが大事です。
練習メニュー
アングル限定ドリル(2対1+GK・10分)
シューター1人 vs DF1人 + GK。DFは近い側を切ることだけに集中。GKは遠い側で待つ。成功基準:GKのセーブ率60%以上。
シュート前プレッシャー(1対1・10分)
シューターがジャンプシュートを打つ際、DFはシュートモーションに入るタイミングで体を寄せて腕の振りを制限する練習。シュートの前に圧力をかけることで、打たれる前にシュートの質を落とします。
まとめ
DFの仕事は「シュートを打たせないこと」ではなく、「GKが止めやすいシュートを打たせること」です。
- 腕を上げて視野を奪う
- 体を寄せてコースを限定する
- 抜かせる方向をコントロールする
- GKと「どちら側を任せるか」をすり合わせる
1人で全部止めようとしなくていい。DFとGKで役割を分担して、チームで守る。それが「打たせて取る」DFの本質です。
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