ユーゴの形はできている。
パスも、ポジションチェンジも間違っていない。
それなのに、DFがまったく動かない。
そんなときは、入れ替わった後の選手を見てみてください。
中央で止まってボールを待っていませんか?
ユーゴで作りたいのは、きれいな位置交換ではありません。
走りながらボールを受ける、勢いのある1対1です。
チームで決めるのは、次の3つで十分です。
| チームで決めること | 見る場面 |
|---|---|
| 走りながら受ける | ボールを受ける瞬間も加速できているか |
| まずゴールへ向かう | 最初から横パスを探していないか |
| DFが寄ったらずらす | 空いた隣へすぐボールを動かせるか |
この順番がそろうと、ユーゴはパス回しから攻撃へ変わります。
「ユーゴ」は旧ユーゴスラビアから広まった呼び名
名前の「ユーゴ」は、旧ユーゴスラビアに由来するとされています。
1980年代、旧ユーゴの指導者たちは、交差から2対2を作る攻撃を発展させました。
クロアチアの報道では、その形が西ヨーロッパや北欧へ伝わり、「Yugo」と呼ばれるようになったと説明されています。
EHFの大会分析でも、後方の選手が入れ替わる動きを「Back transition or Yugo cross」と記しています。
日本の専門誌『スポーツイベント・ハンドボール』も、旧ユーゴでは戦術の開発が進んだと説明しています。
その中には、「ユーゴ」と名づけられたプレーが多いと紹介されています。
ただ、誰が最初に作ったのかまでは確認できません。
チームや地域で動きに違いがあるため、ここでは旧ユーゴのハンドボールから広まった呼び名として扱います。
この記事でいう「ユーゴ」を先にそろえる
ユーゴという呼び方は、チームや地域で動きが違うことがあります。
ここでは、日本の現場で使われる一つの形として説明します。
CBはセンターバック。
LBは左のバックプレーヤーです。
RBは右のバックプレーヤーを指します。
今回のユーゴは、CBがLBへパスするところから始まります。
ボールが左にある間に、CBは右へ移動します。
RBは、CBが空けた中央へ走り込みます。
LBからのパスを勢いよく受け、そのまま1対1へ入る形です。

ボールが左側にある間にCBが右へ移動し、RBの中央への助走路を空けます。最後のPVシュートは展開の一例です。
ボールだけを追うと、左側のパス交換が目に入ります。
見てほしいのは、その反対側です。
CBが場所を空ける。
RBがいつもより長く走れる。
スピードに乗ったまま、DFへ向かう。
この助走が、ユーゴの中心です。
普通にRBへ渡すのと、何が違うの?
「最初からRBへパスすればいいのでは?」と思いますよね。
止まったRBがボールを受けると、正面のDFも準備できます。
距離を詰める時間があります。
左右のコースも先に消せます。
ユーゴでは、RBが中央へ向かいながらボールを受けます。
DFは短い時間で対応を決めなければなりません。
前へ出て止めるのか。
下がりながら守るのか。
隣のDFが助けるのか。
同じ1対1でも、止まって始めるよりDFの判断時間が短くなります。
最初の選択は、RBの1対1です
ユーゴを始めたら、RBはまず自分でゴールへ向かいます。
正面のDFだけで止められないなら、そのまま突破かシュートです。
最初からパスを探すと、隣のDFは自分の場所を守れます。
RBが本気で抜きに来るから、隣のDFが助けに出ます。
目線だけをゴールへ向けても足りません。
体の向きも、最初の一歩もゴールへ向けます。
DFに「一人では止められない」と感じさせる攻めが必要です。
DFが寄ったら、空いた隣へずらす
RBの1対1へ隣のDFが寄ると、進路は狭くなります。
その代わり、寄ったDFが守っていた場所が空きます。
ここで無理に2人の間へ入る必要はありません。
空いた隣へ、ボールを横にずらします。
パスは、1対1を止められた後の逃げ道ではありません。
RBがDFを引きつけたから生まれた、次の攻撃です。
| DFの反応 | 次の選択 |
|---|---|
| 正面のDFだけで守る | RBが1対1を続ける |
| 隣のDFが寄る | 空いた隣へ横パス |
| 中央のDFが深く寄る | PV周辺を見る |
| DF全体が中央へ集まる | 外側まで展開する |
PVはピボットです。
ゴールエリアの近くで、DFの間に立つ選手を指します。
最後のPVシュートは、一つの答えです
GIFでは、最後にPVへパスを入れています。
この終わり方は正解の一つです。
RBの走り込みに中央のDFが反応し、PVの周りが空いたから使えます。
「ユーゴをしたら、最後はPV」と覚えないでください。
正面だけで守るなら、RBがそのまま攻める。
横から寄れば、隣へずらす。
中央が深く寄ったときに、PVが見えてきます。
セットプレーは、最後まで決めた一本道ではありません。
止められた後の二次攻撃と同じで、DFの返事を見て次を選びます。
サイドユーゴは、ボールを外へ預ける
サイドユーゴでは、ボールをLWまで運びます。
LWは、左端に立つレフトウイングです。
CBからLB、LBからLWへパスします。
その間に、CBとLBが左側で場所を入れ替えます。
入れ替わった選手は、中央へ向かって走り込みます。

LWまでボールを預ける間にCBとLBが入れ替わり、中央へ勢いをつけます。最後のPVシュートは展開の一例です。
通常のユーゴより、ボールを遠くへ預けます。
その分、走るための時間と距離を作れます。
左側のDFも、外へ動くボールに反応します。
中央へ走り込む選手は、広い場所へ入りやすくなります。
入口は違っても、狙いは同じです。
ボールを別の場所へ預ける。
その間に助走路を作る。
走り込んだ選手が、勢いのある1対1を始めます。
| 形 | ボールを預ける場所 | 助走を作る動き |
|---|---|---|
| ユーゴ | LB | CBが右を空け、RBが中央へ走る |
| サイドユーゴ | LW | CBとLBが入れ替わり、中央へ走る |
うまくいかないときは、受ける瞬間を見る
ユーゴがパス回しで終わるとき、よく起きるのが早すぎる移動です。
RBが先に中央へ着いてしまう。
その場で止まり、ボールを待つ。
これでは、普通の1対1と変わりません。
CBが場所を空けるのが遅い場合もあります。
LBが早くボールを返すと、RBは加速できません。
確認するのは、予定の位置へ立てたかではありません。
加速しながらボールを受けられたか。
形が合っていても、止まって受けたらやり直します。
この基準があると、練習が位置の暗記で終わりません。
練習では、最後のパスを決めない
最初はDFを置かず、助走のタイミングをそろえます。
CBが空ける瞬間を見る。
RBが走り始める瞬間を見る。
走りながら受けられたら成功です。
次は、RBの正面と横にDFを置きます。
正面だけで守ったら、1対1を続けます。
横のDFが寄ったら、空いた味方へずらします。
DFには毎回違う反応を選んでもらってください。
攻撃側は、決めたパスではなくDFを見ます。
最後に6対6へ広げます。
この段階でも、最後をPVやサイドに固定しません。
1対1、横パス、PV、外側への展開から選びます。
形・判断・速度をつなぐ練習と組み合わせると、順番を覚える練習から抜け出せます。
出す予定だったパスをやめる判断は、パスのスーパーキャンセルでも紹介しています。
成功したかは、位置ではなく勢いで決める
ユーゴは、選手が場所を交換するためのプレーではありません。
場所を空けて、長い助走を渡します。
走り込む選手は、勢いを保ったまま1対1へ入ります。
その攻撃へDFが寄れば、空いた場所へボールをずらします。
練習で見るのは、3つです。
走りながら受けたか。
最初の一歩がゴールへ向いたか。
DFを寄せてからパスを出したか。
この3つがそろうと、ポジションチェンジが本当に攻撃へつながります。