今週のハンドボール界は、なんというか、「終わり」と「始まり」が同時に押し寄せてきた一週間でした。

リーグHでは男女とも上位の席が決まった。その裏で、退団や引退セレモニーのニュースが次々と流れてくる。大学は春季リーグが終わり、高校ではインターハイ予選が動き出す。上のカテゴリーでは「締め」、育成年代では「夏への入り口」。この時期特有の、少しだけ切ない空気感がありました。

刈谷、1位確定。でも本当の勝負はここから

5月20日、ブレイヴキングス刈谷が安芸高田わくながを34-26で下して、レギュラーシーズン1位を決めました。

正直、この結果自体に驚きはありません。21連勝の勢いそのままに、前半16-11で主導権を握り、後半も崩れなかった。「いつも通り勝てる」状態でプレーオフに入れるのは、短期決戦では大きい。緊張する試合ほど普段のリズムが出なくなるものですから。

23日には福井永平寺にも38-32で勝って週内2連勝。ゴメス選手を軸にしっかり点が取れている。プレーオフ前の最後の印象としては、かなり良い形です。

一方の豊田合成も23日にレガロッソ宮城を31-24で退けて2位確定。王者は王者で、崩れてはいない。刈谷が「勢い」なら、豊田合成は「修正力」。この対比が6月のプレーオフでどう出るか——楽しみでしかありません。

大同フェニックス東海も18日にプレーオフ進出と5位確定が発表されました。23日の佐賀戦は24-33で敗れましたが、権利を確保したうえでの消化試合。次の準備に入れる立場です。

香川銀行、1点差を取り切った重み

女子で一番大きかったのは、香川銀行シラソル香川の1位確定です。

5月23日、イズミメイプルレッズ広島を33-32で破りました。1点差。松浦未南選手が11得点。

この「1点差で勝った」という事実が、プレーオフに向けてどれだけ大きいか。順位が決まる直接対決で、最後の1点を取り切れるチームには、「自分たちは積み上げてきた」という確信が生まれます。松浦選手のように、苦しい時間帯でも「この人で行ける」と思える選手がいること。それは短期決戦では何よりの支えになる。

別れの季節——スコアに出ない、大事なこと

退団や引退のニュースを見ると、つい「来季の戦力はどうなる?」と考えたくなります。でも今週は、それだけじゃない空気がありました。

福井永平寺ブルーサンダーでは永野大樹選手、山城翔選手、ビルケフェルト・サイモン選手の退団が発表されました。ホーム最終戦の時期と重なっています。香川銀行では吉本里緒選手の退団。HC名古屋では白築麗子選手、花井美月選手、植松莉子選手、鈴木姫らら選手の引退セレモニー。三重バイオレットアイリスでも飯塚美沙希選手、並木梨紗選手の引退セレモニーがありました。富山ドリームスでは池間飛勇選手、髙木アレキサンダー選手、庄司清志選手の引退試合。

「今日の1本のシュートが、この選手のホーム最後かもしれない」。そう思って見ると、同じプレーでも感じ方が変わるんですよね。順位表には出ない。でも、会場に行く人にとっては、試合の見え方を大きく変える情報です。

今週の試合メモ

スコアは左側チーム-右側チームの順です。

日付区分試合スコア見どころ
5/20男子ブレイヴキングス刈谷 vs 安芸高田わくながHC34-26刈谷がRS1位を確定
5/23男子レガロッソ宮城 vs 豊田合成24-31豊田合成が前半から主導権
5/23男子大崎オーソル埼玉 vs 琉球コラソン37-30大崎ホーム最終戦で勝利
5/23男子安芸高田わくながHC vs ゴールデンウルヴス福岡31-18わくながが後半に突き放す
5/23男子レッドトルネード佐賀 vs 大同33-24佐賀がPO前に勢い
5/23男子福井永平寺 vs ブレイヴキングス刈谷32-38刈谷が週内2勝目
5/24男子富山ドリームス vs アースフレンズBM東京・神奈川27-28アスフレBMが1点差勝利
5/24男子アルバモス大阪 vs ジークスター東京25-33ジークスター通算100勝到達
5/23女子香川銀行 vs イズミメイプル広島33-32香川銀行がRS1位を確定
5/23女子HC名古屋 vs 熊本23-31GK下屋奏香選手22阻止が光る
5/23女子大阪ラヴィッツ vs ラティーダ琉球20-32ラティーダが後半に突き放す
5/23女子ブルーサクヤ鹿児島 vs ハニービー石川29-23ブルーサクヤが6点差勝利
5/24女子三重 vs アランマーレ富山30-36三重は引退セレモニーの文脈も

大学・高校——春が終わり、夏が始まる

リーグHの裏で、学生カテゴリーも動いていました。

東海学生春季リーグでは中京大学が男女ともに優勝。男子は中京大学と中部大学がともに8勝1敗でしたが、直接対戦の成績で中京大学が上に。女子は7戦全勝。関西学生では大阪体育大学が男女1部を制しました。東海は中京、関西は大体大。この2つの軸が西日本インカレでどう交わるか。

高校ではインターハイ予選が各地で本格化。大阪では中央大会が進み、宮崎や京都でも予選が動き出しています。全国的に「夏への選考」が始まった週です。

海外——相澤菜月選手、欧州決勝の舞台へ

今週一番テンションが上がったのは、正直これかもしれません。

女子日本代表「おりひめジャパン」の相澤菜月選手が所属するチューリンガーHCが、EHFヨーロピアンリーグの決勝まで進みました。準決勝ではヴィボーHKに26-24で勝利、相澤選手は4得点。決勝はディジョンに25-29で敗れて準優勝でしたが——日本人選手がヨーロッパのカップ戦決勝のコートに立っている。その事実だけで、追いかける価値があります。

代表年代では、男子U-21と女子U-18の第1回強化合宿メンバーも発表されています。すぐにトップ代表の結果に直結する話ではないけれど、数年後の日本代表を考えるなら、こういう名前を追っておくと楽しみが増えます。

来週を見るなら

5月25日から31日の週は、リーグHのレギュラーシーズン試合が予定されていません。次の山は6月12日から14日のプレーオフ。

つまり来週は、試合結果を追う週ではなく、プレーオフへ向けた準備やチーム発表、追加の退団・契約情報を拾う週になります。高校では大阪インターハイ予選中央大会3日目が5月30日。代表では女子U-18合宿が26日まで。

試合が少ない週ほど、チームの準備や人の動きが見えてくる。今週の「順位確定」と「別れ」を踏まえると、来週はプレーオフ前の静かな助走として見ておくと、6月の試合がもっと面白くなるはずです。


出典・参考リンク

※試合結果・順位はリーグH公式サイトおよびJHA公式発表に基づいています。退団・引退情報は各チーム公式発表を参照しています。